スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

私たちを動かすチャンネル~イオンの存在~

 

おたくde研究会 » PHって何?(イオン編)より転載)

 


「私たちはなぜ、動くことができるのか―――」

 


 筋肉は収縮したままでは何の役にも立たず、神経も筋肉もオンとオフを切り替えられることが、本質的な機能だということです。これらのオン/オフの切り替えは、電気的にプラスなのかマイナスなのかで決まります。


 神経の細胞も筋肉の細胞も、どちらも普段は、細胞の内側が電気的にマイナス、細胞の外側が電気的にプラスになっています。これがオフの状態です。


 そこに信号が伝わってくると、一時的に細胞の内側と外側のプラスとマイナスが逆になります。これがオンの状態です。そうすると、筋肉は縮み、神経は刺激を伝えていきます。筋肉と神経では最終的な役割は違いますが、オン/オフを切り替えるプロセスや基本的な仕組みについては、まったく同じです。


 では、信号が伝わってくると、筋肉や細胞はどうやって細胞の内側と外側のプラスとマイナスを逆転させるのでしょうか。この仕組みを演じているのが、ナトリウムとカリウムなのです。

 

 


 人間の細胞は全身で60兆個もあり、そのすべてにカリウムがタップリ含まれています。一方、細胞の外側にはリンパ液や血液があるわけですが、どちらもナトリウムが豊富に含まれています。血液がしょっぱいのはこのためです。

 体内にあるカリウムやナトリウムは、もちろん金属の状態ではなく、水に溶けたイオンの状態で存在しています。ナトリウムもカリウムも、外側に1個だけ回っていた電子を放出してイオンになるため、どちらもプラス1価のイオンになるのでしたね。


 細胞を包む膜には、ナトリウムだけが通れる専用の穴と、カリウムだけが通れる専用の穴があります。筋肉も神経も、信号が伝わってくると、まずナトリウム専用の穴が開きます。そうすると、ナトリウムが多い細胞の外側から、少ない細胞の中にナトリウムが一斉に入ってきます。


 入ってくるナトリウムはプラス1価のイオンなので、電気的にマイナスの状態だった細胞の内側がプラスに変わります。反対に、プラスの状態だった細胞の外側は、プラスが減ったぶんだけマイナスに変わるわけです。こうして細胞の内側と外側でプラスとマイナスが入れ替わります。


 これがきっかけになって筋肉は自動的に縮み、神経は刺激を伝えるのです。つまり、筋肉や神経のスイッチがオンになった状態は、ナトリウムイオンが細胞の外側から内側に移動することで生じるわけです。


 ただし、このままだと、筋肉は1回縮んでおしまい、神経は1回刺激を伝達しておしまいになってしまいます。もちろん、生きていくためには筋肉も神経も使い捨てというわけにはいきません。


 そこで、次に使えるように、細胞の内側と外側の電気的な状態を、すみやかに元のオフの状態に戻さないといけません。ここで力を発揮するのがカリウムです。


 ナトリウムが細胞の中に入ってきて細胞の中がプラスになると、今度はカリウム専用の穴が開きます。すると、カリウムが豊富に存在する細胞の内側から、カリウムが乏しい細胞の外側へと、開いた穴を通ってカリウムが移動していきます。カリウムもプラス1価のイオンなので、カリウムが出ていった細胞の中は再びマイナスになり、カリウムがやってきた細胞の外側は再びプラスになるわけです。こうして元のオフの状態にリセットされれば、筋肉も神経も、次の刺激に備えられるわけです。


 このように、筋肉も神経もナトリウムとカリウムが対照的に働くことによって機能を発揮できるのです。


 ナトリウムとカリウムは、周期表の上下に隣接しているため、原子の性質はよく似ているものの、大きさは少し異なるという関係にあります。生物は進化の歴史の中でナトリウムを通す穴と、カリウムを通す穴の両方を手にすることができました。その理由は、どちらの穴もよく似たタンパク質で設計することができたということです。


 この、よく似ているけど、ちょっとだけ大きさが違うというのが、動物にとって実にありがたい関係だったのです。



 ■参考文献

 
関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


来てくれた人

プロフィール

大村升次郎

Author:大村升次郎
私立学校の教師。化学勉強法【フレームワーク式】を運営。『効果的な化学の学習を日本全国に広げる』が夢(^^)/モル濃度計算の問題集を近日Amazonで販売します(^O^)
>>会員登録  >>サイト >>プロフィール詳細 >>秘密の掲示板

最新記事

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。